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則永修、おさむちゃん漫画劇場
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小史
ポストくんとの出会い

私に漫画の面白さを芽生えさせてくれたのは、馬場のぼるの『ポストくん』
(『おもしろブック』1950 年11 月号- 1954 年10 月号)でした。数十年前、
心斎橋「丸善」で開かれた絵本展で、あこがれの馬場のぼるさんに出会い
ました。絵本を買ってサインをしてもらうとき「私、子供の頃ポストくん、
大好きでした」と話しかけると先生は顔をあげて、飄々とした表情で私と
握手してくれました。

紙芝居を作って近所の子供に

馬場のぼるの「ポストくん」以外にも「イガグリ君」、「赤胴鈴之助」、
絵物語の「鞍馬天狗」などが好きでした。そのうち自分で物語を作り、そ
れに合わせた絵を描き紙芝居を作り、路地で近所の子供たちに見せてやり
ました。子供たちと銭湯で出会うと「にいちゃん、あの続き早よやってな」
とせかされ、その場で予告編を口でしゃべってやると、真剣な顔で聞き入
っていました。

日美の通信教育で挿絵の勉強

高校生になって、平凡や明星の雑誌広告で「君も花形の挿絵家になれる」
と載っていたので早速、申し込みました。数日後、教材一式が届きまし
た。当時、岩田専太郎、堂昌一の挿絵が好きで、スクラップして模写し
ていました。毎週、課題の挿絵を描いて送ると、赤ペンで添削して返っ
てきます。優秀作品は会員誌に掲載されますが、私は一度も掲載されず
じまいでした。

大和ハウス社内報に4 コマ漫画

大和ハウスに入社して3 年後、社内報の担当になりました。タブロイド4
ページ、週刊発行です。毎週月曜締め切り、編集レイアウト、火曜出稿、
校正。校了、印刷、水曜朝配布というスケジュールです。4 コマ漫画は、
その合間を縫って描かねば間に合いません。新聞には4 コマ漫画は絶対必
要だと思い、「夢みるダイちゃん」を一か八か載せました。これが徐々に
評判になり、以後6 年間連載することになったのです。この4 コマ漫画を
描くことで案を考えることの難しさや、どんな時にいい案が浮かぶのかを
学ぶことができました。

読売新聞
「漫画アンデパンダン」に投稿

大阪新聞に昭和21 年から連載が開始された、南部正太郎さんの四コマ漫画
「ヤネウラ3ちゃん」は終戦直後の庶民の生活をコミカルに描き大阪で爆発
的な人気を博しました。父が大好きで月極でとっていました。その後、読売
新聞の夕刊に南部さん選者による投稿欄「漫画アンデパンダン」がはじまり、
投稿を開始し、掲載日の毎週土曜日が楽しみでした。初入選は1968 年9 月
28 日でした。父が喜んで電話をかけてきました。

漫画サンデー「漫画大学」に投稿

読売新聞の漫画アンデパンダンに複数回入選するうちに自信がつき、漫画サ
ンデーにも投稿を始めました。加藤芳郎、杉浦幸雄、小川哲男など当時の人
気漫画家が審査員で、佳作には入るもののそう簡単には入選しませんでした。
3 ヶ月目にやっと入選しました。

大阪日日新聞「マンガの学校」に投稿

夕刊紙の大阪日日新聞に「マンガの学校」という投稿欄ができ、早速応募し
ました。初回から入選しすぐに常連?になりました。

読売国際漫画大賞で佳作

第15 回読売国際漫画大賞の佳作に入った知らせを仕事先で受けました。
1993 年12 月中旬だったと思います。この賞は当時国内はもとより世界で
も最大級の権威あるコンテストで、世界各国から1 万点に及ぶ作品が寄せ
られるほどでした。
読売新聞奈良支局から取材を受け、奈良版に大きく掲載され、一躍有名人に
なった気分を味わいました。

吉備川上川上漫画グランプリで
審査員特別賞

マンガ文化の町岡山県高梁市川上町の「吉備川上マンガグランプリ」で審査
員の富永一郎さんから特別賞をいただきました。表彰式のあとの祝賀会で親
しく談笑して楽しいひとときを過ごしました。富永さんといえば「チンコロ
姐ちゃん」。奇想天外な発想にはかないません。

沢の鶴四コマ漫画大賞で大賞

沢の鶴が1.5CUP発売を記念して四コマ漫画を公募していたので、力試しに
応募しました。数ヶ月後、書留で大賞の知らせが来ました。賞金10万円と
1.5CUPが100本届きました。日本酒はあまり強くないので、親戚や友達、
得意先やらあっちこち配りました。酒の瓶の内面に4コマ漫画が張ってあり
飲みながら漫画を楽しむという具合なのです。
しばらくして、旅先の自販機で私の4コマ漫画の1.5CUPがでてきた時は
ちょっと感動しました。

これからも漫画を描き、人生を楽しく

もう随分前から、一コマ漫画が少なくなりました。新聞や雑誌の投稿欄も無
くなり、読売国際漫画大賞も無くなりました。変わって、コミック漫画やス
トーリー漫画が全盛です。我が家の三男の部屋は小学生から読み続けてきた
コミック誌で埋め尽くされ、数万冊に及びます。今の若い人の大半は漫画世
代と言われるほどです。本来、一枚ものの漫画とコミック漫画は一緒ではな
いのかもしれません。それをみんなひっくるめて「漫画」と呼ぶからおかし
くなるのでしょう。漫画はおもしろい画であり、人間の喜怒哀楽、本当の姿
を凝縮し、ユーモアを交えて描いた画なのだと思います。これからも年齢に
関係なく漫画を描くことで人生を楽しんでいこうと思います。というところ
で、おさむちゃん漫画劇場の幕が下ります。

「吉備川上川上漫画グランプリ」
受賞祝賀会で富永一郎氏と。
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