

大和ハウス社内報
に連載(1964〜1970年)


初回は恐る恐るはじまった
初回の作品には、作者名や回数表示が
ありません。4コマ漫画を掲載するもの
の「誰や、こんな漫画描いとんのわ!」
と上から怒られたら、すぐに止めよう
と思ったからでした。
作者名を入れず、4コマ目の右下に
「おさむ」のサインをしておきました。
ここなら目立たないと思ったからです。
設定も気を使って、主人公のダイちゃん
は大和ハウススの猛烈営業マンにしま
した。得意先のカッカウイスキーの部長
は、訪ねて来る営業マンにいつも酒を
飲ませて追っ払っていました。意を
決したダイちゃんは得意先へ乗り込み
ます。そしていつものように酒をすすめる
部長に「注文をもらうまで飲みませんよ」
と言い張りました。
翌朝、二日酔いのダイちゃんに上司が
営業成績がトップであることを告げます
が、酒がそれほど強くないダイちゃんは
頭の中がグルグル回っていました。
評判は上々、まずは一安心
果たして、社内の反応はいかに…。同僚や
他部署の人から「面白いから続けたら」
といった励ましをうけ、まずは一安心。
当時は週刊発行だったので毎週1作品
を描くのはとても大変でした。
漫画の案は通勤の電車の中やトイレ、
眠る前、喫茶店、アルサロ、映画館、
寄席などで思いついたアイデアをすぐに
メモを取りました。とくに、喫茶店や
アルサロでは人物スケッチをしたり、
ホステスさんの身の上話を聞いたり
したことが、漫画の案になるだけでなく、
後々いろんな仕事に役立った。
高い授業料を払った甲斐があったと
いうものです。

人気が出て来ると、ダイちゃんは徐々に
ちょっとエッチでいたずらなところが随所
に見受けられるようになりました。これが
さらに読者に喜ばれることになりました。
社内報の紙面が比較的硬いようだったので、
ダイちゃんの4コマ漫画が息抜きの役目を
果たしてくれたのでしょう。読者アンケート
でも、ダイちゃんを毎回読んでいる人は90%
を超えていました。こうなると、はじめの頃
の猛烈営業マンのイメージはどんどん薄れて
いったのです。

新年号では10コマに
お正月を迎えると誰もが「今年こそは頑張
るぞ!」と意気込む。それはダイちゃんも同じ。
今年こそは、立派な営業成績を上げて、給料や
ボーナスをいっぱい手にしたいと思うのです。
そんなダイちゃんは新年号で日頃の4コマでは
表現できないウップンをはらすのでした。









最終回は京都支店で
調子に乗って連載が続きましたが、人事異動で
社内報担当を後輩に譲ることになりました。
発行回数も週刊発行から隔週、そして月刊と
変わっていき、ダイちゃんを毎週楽しみにして
いる社員から淋しがられました。
最終回は、京都支店でした。最後の案は、京都
支店の住宅営業に欠かせない京都市街地図を
眺めているうちにうかび、早速描いて本社に
送りました。刷り上がった社内報をみて、
丸6年間、我ながらよく続いたなとおもいました。

続けられたのは読者のおかげ
6年間も連載が続いたのは、毎号「ダイちゃん」
を読んでくれている読者(社員)とその家族の
お陰です。社内ですれ違ったとき、トイレで横
に並んだとき、「今回は、なかなか面白っかたね」
と言ってくれたり、「最近、ちょっとおもろないで」
と言われたり、そのたび一喜一憂しました。
何の反応も無かったら、きっと途中で止めていた
と思います。「おもしろかったよ」と言う言葉と、
「配布している時、真っ先に「ダイちゃん」見て
いる人がクスッと微笑んだ、そんな光景を見たさ
にせっせと描けたのでしょう。
OB会で「ダイちゃん」
見てたよに感激
時は流れ、OB会で在籍中に知らなかった人から
「社内報で、ダイちゃん、書いてた、そう、
則永さんですね、いつも見てましたよ」と声を
かけられた時は嬉しかったですね。もう、50年
以上も前のことですからなおさらです。
もっと驚いたのは、2世の社員から「則永さんの
ダイちゃん、見たことありますよ。父が会社から
持って帰ってきてましたから」。
「あすか君」
住宅販売店通信
ダイちゃんが人気を得た頃、住宅販売店向けの情報誌「販売店通信」(月刊)の担当者からの要請で「あすか君」の連載が始まりました。
当時の住宅にフラット屋根の「飛鳥」という新製品がでていて、主人公の名前にしました。
これは、販売店の営業マンに気楽に読んでもらえたらいいということで自由に、まるで自分の日常を描いているようでした。
しかし、毎号毎号おもしろい案がでてきません。
ノートにはいろんな案をメモってはいるものの、どれもこれもパッとしません。締切は明日。
どうしようもないとき、会社の帰り道、ネオン煌めく千日前を行ったり来たり、ふと、アルサロの前で立ち止まり入ろうとすると、呼び込みのネエちゃんが一人も立っていません。
ということは、今入っても、指名の娘は誰かに付いていて、本命の娘がちょっとだけ席について「ちょっと待っててね」と言って去って行き、」あとはぼーっと待ってるだけ、ということになるだけ。そんな光景が頭に浮かんだ
その瞬間「これだ!」と案が浮かんだのです。


「つれづれ君」
ダイワ住宅機器株式会社
ダイワ住宅機器(現・大和デザインアーク)に移った私は、ここで社内報を発行。「つれづれ君」の連載を始めました。主人公はあの懐かしい
ダイちゃんそっくりにしました。
このダイちゃんのキャラクターは、50年経った今も変わらず、社内報や情報誌、カタログやチラシのイラストなどいろんなところで活躍しています。

